つくる旅
陶磁器

九谷焼

Kutani Ware

石川県

九谷焼は石川県を代表する色絵磁器で、赤・緑・黄・紫・紺青の五彩を用いた大胆かつ絢爛な絵付けを最大の特徴とする。

歴史

九谷焼は、江戸時代前期に加賀藩の支援のもと、石川県南部の山中地域で生産が始まったとされる。開窯後しばらくのちに一度生産が途絶えた時期(いわゆる「古九谷」の空白期)があり、その後江戸時代後期に加賀・金沢を中心に各地の窯元が相次いで再興し、多様な画風が花開いた。再興期には、京焼の技術や画風の影響を受けながらも、独自の豪放な絵画的表現が確立された。明治以降は輸出工芸品として国際的な評価を高め、現代においても伝統的な五彩の意匠を継承しつつ、現代的なデザインとの融合が積極的に図られている。国の伝統的工芸品に指定されており、石川県を代表する文化的産業として広く認知されている。

素材

九谷焼の素地には、磁器質の白く緻密な素地が用いられる。原料となる陶石や粘土は石川県内および周辺地域から調達されるほか、適性の高い原料が各地から選別使用される。素地の白さと硬度は、上絵具の発色を最大限に引き出すために重要な要素となる。上絵付けに用いる顔料は、赤・緑・黄・紫・紺青の五色を基本とし、天然鉱物や金属酸化物を原料とする伝統的な上絵具が今日も受け継がれている。金彩を加えることで、より格調高い装飾効果が生まれる作品も多い。

技法

九谷焼の製造工程は、素地成形・素焼き・下絵付け・本焼き・上絵付け・上絵焼成という段階を経る。最大の特徴は「上絵付け」にあり、本焼き後の白磁に筆で五彩の顔料を丁寧に施す。絵師は伝統的な草花・山水・人物・吉祥文様などを、時に画面を色彩で大胆に塗り埋める「塗り埋め」技法を用いながら描き上げる。窯元や絵師によって、青手・赤絵・五彩など多彩なスタイルが存在し、個性豊かな表現が生まれる。上絵焼成は比較的低温で行われ、顔料の鮮やかな発色を固着させる。高度な筆致と色彩感覚は長年の修練によって培われる。

風土と工芸

石川県は日本海側の気候に属し、冬季に降水・降雪が多い。この長い冬の閉季が、職人が室内で絵付けや成形に集中する時間を自然に生み出し、精緻な手仕事の技術が磨かれる環境を育んできたと考えられる。

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