工芸 · No. 130

No. 130木工品・竹工品
一位一刀彫
Ichii Ittobori
ichii ittobori · 岐阜県
一位一刀彫は、岐阜県飛騨地方で産出するイチイ材を用い、一本の彫刻刀で彫り上げる木彫工芸品。木肌の美しさと鋭く精緻な彫り口が最大の特徴。
- 産地
- 岐阜県
- 分類
- 木工品・竹工品
- 素材
- 木
- 指定
- 国指定伝統工芸品
其の一歴史
一位一刀彫の起源は江戸時代中期の飛騨高山にさかのぼると伝えられる。飛騨の地は古来より「飛騨の匠」として知られる優れた木工技術の伝統を持ち、その技術的土壌の上に一位一刀彫は育まれた。当初は神社仏閣への奉納品や武家・公家への献上品として制作されていたとされ、やがて高山を訪れる参拝者や旅人へのみやげ物とし…
其の二素材
主材料は飛騨地方の山岳地帯に自生するイチイ(一位、学名:Taxus cuspidata)の木材。イチイは成長が極めて遅い樹木であり、長い年月をかけて形成された木質は緻密で硬く、粘りがある。辺材は淡い黄白色、心材は鮮やかな赤褐色を帯び、磨くことなくそのままでも美しい光沢を放つ。この天然の色合いと細かい…
其の三技法
一位一刀彫最大の技法的特徴は、その名が示す通り「一刀彫」にある。砥石で丁寧に研ぎ上げた鋭利な彫刻刀一本で形を彫り出し、彫り跡をあえて残すことで刃物の切れ味と職人の息遣いを作品に刻み込む。やすりや研磨による表面仕上げは行わず、鑿(のみ)や切り出しの一刀一刀が最終的な表情となる。題材は鳥・魚・野菜・干支…
其の四風土
飛騨地方は日本アルプスに囲まれた内陸山岳地帯で、冬は積雪が深く寒冷な気候が続く。この厳しい冬が農作業のできない長い屋内作業期間を生み出し、木彫りをはじめとする手仕事の発達を促した。また山岳の冷涼な気候がイチイの緻密な木質を育む環境ともなっている。





