つくる旅
その他の工芸品

岐阜提灯

Gifu Lanterns

岐阜県

岐阜提灯は岐阜県で作られる伝統的な盆提灯で、薄く削った竹ひごに和紙を張った繊細な造形と、透き通るような柔らかな光が最大の特徴である。

歴史

岐阜提灯の起源は江戸時代中期にさかのぼるとされ、長良川流域の豊富な竹と良質な美濃和紙を背景に、この地で提灯づくりが盛んになったと伝えられている。当初は日常用の照明器具として広く使われていたが、やがてお盆に先祖の霊を迎える盆提灯として定着し、その優美な意匠が全国に知られるようになった。明治以降は生産技術の向上とともに意匠の多様化が進み、花柄や山水画を描いた絵付け提灯が各地へ流通するようになった。昭和期には需要の変化や新素材の登場という試練を受けながらも、職人たちは手仕事の技を守り続け、1995年(平成7年)に経済産業大臣指定の伝統的工芸品に指定され、その価値が改めて認められた。現在も岐阜市を中心に伝統的な技法が継承されており、国内外から高い評価を受けている。

素材

和紙顔料

岐阜提灯の主な素材は、地元・長良川流域や岐阜県内で産出される真竹・女竹などの竹と、岐阜県が誇る伝統的な美濃和紙である。竹は薄く削り出して柔軟なひごに加工され、骨格を形成する。和紙は薄手でありながら強度と透光性に優れ、灯火を通したときの柔らかな光の拡散を生み出す。絵付けには顔料や墨が用いられ、繊細な筆致で草花・風景などが描かれる。近年は一部工程で現代的な素材が補助的に使われる場合もあるが、骨組みと紙張りの基本構造は伝統素材が守られている。

技法

岐阜提灯の製作は、竹ひご作り・輪作り・骨組み・紙張り・絵付け・仕上げと、多くの細かな工程に分かれており、それぞれを専門の職人が担う分業体制が発達している。竹をごく薄く均一に削り出す「ひご取り」は熟練を要する技術であり、0.数ミリという薄さに仕上げることで優雅な曲線美と軽量性を実現する。ひごを型に巻きつけて球形や楕円形などの骨格を作り上げたのち、薄い美濃和紙を一枚一枚丁寧に貼り重ねる。絵付け工程では、和紙に直接筆で繊細な模様を描き込む高度な技術が求められる。最終的に房や金具などの装飾を施して完成となる。

風土と工芸

岐阜県中部を流れる長良川流域は良質な竹の産地であり、内陸性気候による適度な湿度は竹の加工や和紙の紙張り作業に適した環境を生み出している。また美濃地方で古くから培われた和紙生産の文化が、岐阜提灯の素材基盤を支えてきた。

岐阜県の他の工芸品

岐阜県の工芸品をすべて見る →