CraftTripつくる旅

工芸 · No. 50

京黒紋付染

No. 50染色品

京黒紋付染

Kyo Kuro Montsuki Zome

kyo kuro montsuki zome · 京都府

京黒紋付染は、京都府で生産される黒染めの染色品で、家紋を白く染め抜く高度な技術と、深みのある漆黒の色合いを特徴とする礼装用の染物である。

産地
京都府
分類
染色品
素材
絹 · 糊 · 染料
指定
国指定伝統工芸品

其の一歴史

京黒紋付染の源流は、京都が日本の都として染織文化の中心地であった平安時代にまで遡ることができる。当初、黒色は高貴な色として宮廷や武家社会で重んじられ、礼服への使用が広まっていった。江戸時代に入ると、家紋を白く染め抜く「紋章上絵」の技術が確立され、武士の礼装としての地位が固まった。明治時代以降、洋装文…

其の二素材

染料

主原料は絹織物で、白生地として仕入れた丹後ちりめんや羽二重などの上質な絹地が用いられることが多い。染料には化学染料と天然染料の双方が用いられ、深みのある漆黒を実現するために複数の染料を重ねて使うことが一般的である。紋章を染め抜くための糊には、もち米を原料とした「糸目糊」などが使われ、繊細な防染を可能…

其の三技法

京黒紋付染の製造工程は、大きく「黒染め」と「紋章上絵(紋入れ)」の二つに分かれる。黒染めでは、下染めとして紺や茶などの色を入れた後に黒染めを重ねる「引き染め」や「浸け染め」の技法が用いられ、均一で深みのある漆黒を実現する。一方、家紋の染め抜きには「糸目糊置き」と呼ばれる精密な防染作業が伴い、極細の筒…

其の四風土

京都盆地は夏の高温多湿と冬の寒冷乾燥という内陸性気候を持つ。この寒暖差や盆地特有の清澄な地下水が染色に好適な環境をもたらし、特に仕上げの水洗いや色止めにおいて良質な水が染色品の発色と品質を支えてきた。