CraftTripつくる旅

工芸 · No. 142

紀州へら竿

No. 142木工品・竹工品

紀州へら竿

Kishu Herazao (Kishu Fishing Rods)

kishu herazao · 和歌山県

紀州へら竿は、和歌山県で作られるへらぶな釣り専用の竹製手竿。複数の竹を継ぎ合わせた軽量かつ高弾性の竿で、精緻な漆仕上げと優れた調子が特徴。

産地
和歌山県
分類
木工品・竹工品
素材
竹 · 漆 · 絹
指定
国指定伝統工芸品

其の一歴史

紀州(現・和歌山県)は良質な竹と漆の産地として古くから知られており、この地でへら竿作りの技術が育まれた。江戸時代後期から明治時代にかけて、へらぶな釣りが庶民の間に広まるとともに、専門の竿師たちが紀州で技を磨き始めたとされる。大阪や京都など近隣の大都市圏に多くの釣り愛好家が存在したことも、紀州における…

其の二素材

主な素材は、紀州近辺や国内各地から厳選された真竹・矢竹・布袋竹などの天然竹。竿師はそれぞれの竹の節の間隔、肉厚、曲がりの特性を見極め、数年単位で乾燥・矯め直しを経た素材のみを使用する。漆は国産漆を基本とし、竿の表面保護と美観を兼ねる。また、継ぎ部分の補強には絹糸を巻く「絹巻き」が施され、強度と装飾性…

其の三技法

竿師はまず竹を選別・乾燥させ、火で炙りながら「矯め木」を使って竹の曲がりや歪みを丁寧に修正する「火入れ」を行う。次に各節を削り、全体の調子(しなりのバランス)を整える「削り」の工程へ進む。複数本の竹を組み合わせて継ぎ竿に仕上げる際には、それぞれのピースの重さと弾性が精密に計算される。継ぎ口には絹糸を…

其の四風土

紀伊半島は温暖多湿な気候で竹の生育に適しており、周辺山地からは漆も産出された。高温多湿の環境で鍛えられた竹は粘りと弾力に富み、へら竿に求められる繊細な「調子」を生み出す素材として最適とされてきた。