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工芸 · No. 110

紀州漆器

No. 110漆器

紀州漆器

Kishu Lacquerware

kishu lacquerware · 和歌山県

紀州漆器は和歌山県海南市・黒江地区を中心に生産される漆器で、堅牢で実用的な日用漆器として広く親しまれている。朱色や黒の美しい塗面と丈夫さを兼ね備え、全国有数の漆器産地として知られる。

産地
和歌山県
分類
漆器
素材
漆 · 木 · プラスチック
指定
国指定伝統工芸品

其の一歴史

紀州漆器の産地として知られる黒江(現・和歌山県海南市)は、室町時代ごろから漆器の生産が始まったと伝えられている。紀州徳川家の保護・奨励を受けながら産地としての基盤が整えられ、江戸時代には椀や盆など日用漆器の産地として大きく発展した。上塗り・中塗り・下地などの工程を分業体制で行う産地内分業が確立し、良…

其の二素材

プラスチック

紀州漆器の素地には、かつては木材(欅・朴など)が主に用いられていたが、現代では木製素地に加えて合成樹脂(プラスチック)素地も広く使われている。塗料となる漆はウルシノキの樹液を精製したもので、独特の光沢と強度をもたらす。顔料として朱(硫化水銀)を用いた朱塗りや、カーボンブラックを用いた黒塗りが代表的な…

其の三技法

紀州漆器の最大の特徴は、産地内での徹底した分業制にある。素地づくり、下地塗り、中塗り、上塗り、蒔絵・沈金などの加飾といった各工程が専門の職人によって担われる。上塗りでは、漆を幾重にも塗り重ね、各工程の間に丁寧な研ぎ出しを行うことで、深みのある光沢と滑らかな塗面を実現する。代表的な加飾技法としては、金…

其の四風土

和歌山県は温暖で湿潤な気候に恵まれており、漆の乾燥(硬化)に不可欠な適度な湿度が自然に確保されやすい環境にある。また、かつては周辺山林からの良質な木材調達が容易であったことも、産地の発展を支えた地理的条件のひとつである。