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工芸 · No. 10

本場黄八丈

No. 10織物

本場黄八丈

Honba Kihachijo

honba kihachijo · 東京都

本場黄八丈は、東京都八丈島で作られる草木染めの絹織物。島に自生する植物から生み出される鮮やかな黄・樺・黒の三色が際立つ格子縞や縦縞が最大の特徴。

産地
東京都
分類
織物
素材
絹 · 木 · 藍
指定
国指定伝統工芸品

其の一歴史

八丈島における絹織物の歴史は古く、島が幕府への貢納物として絹布を納めていた記録が残る。江戸時代には「八丈絹」として広く知られ、鮮やかな黄色を基調とした縞織物が江戸の人々に珍重された。その黄色の美しさから「黄八丈」と呼ばれるようになり、特に裕福な町人や武士の間で流行した。明治以降は貢納制度が廃止された…

其の二素材

本場黄八丈には絹糸が用いられ、染料はすべて八丈島に自生する植物から採取される。黄色はコブナグサ(八丈刈安)の煎汁で染め、樺色(赤褐色)はタブノキの樹皮を原料とし、黒色はシイの木の樹皮と泥を用いた泥染めで発色させる。いずれも化学染料を一切使わない純粋な草木染めであり、染め重ねを繰り返すことで深みのある…

其の三技法

染色工程では、植物の煎汁に糸を繰り返し浸し、日光に当てて酸化・発色させる「干し込み」を何十回も重ねる。特に黒の泥染めは、シイの樹皮汁に浸した後に泥田で揉み込む独特の工程が必要で、鉄分との化学反応によって深い黒が定着する。織りは手機(てばた)を用いた平織りを基本とし、縦縞・横縞・格子縞などの柄は経糸と…

其の四風土

八丈島は温暖湿潤な海洋性気候で、コブナグサやタブノキなど染料植物の生育に適している。豊富な湧水は染色に欠かせない軟水をもたらし、島特有の植生と水環境が本場黄八丈の色彩を他産地には再現できないものにしている。