CraftTripつくる旅

工芸 · No. 82

上野焼

No. 82陶磁器

上野焼

Agano Ware

agano ware · 福岡県

上野焼(あがのやき)は福岡県田川郡福智町を主な産地とする陶磁器。茶陶を中心に、釉薬の豊かな発色と繊細な轆轤成形が特徴の伝統的工芸品。

産地
福岡県
分類
陶磁器
素材
陶土 · 灰釉 · 鉄
指定
国指定伝統工芸品

其の一歴史

上野焼の起源は、慶長年間(16世紀末〜17世紀初頭)に遡る。豊前国を治めた細川忠興(三斎)が、朝鮮半島から陶工を招いて開窯したのが始まりとされる。忠興は千利休の高弟として知られた数寄者であり、茶の湯に適した器を求めて上野の地に窯を築いた。その後、細川氏が肥後(熊本)へ転封された際にも一部の陶工が上野…

其の二素材

陶土灰釉長石

上野焼には、地元・福岡県内およびその周辺で採取される陶土が用いられる。この土は鉄分を適度に含み、焼成後に温かみのある素地の色合いを生む。釉薬には、藁灰・木灰・長石などを調合した灰釉をはじめ、鉄釉・青磁釉など多様な種類が用いられる。釉薬の調合は各窯元の秘伝とされることも多く、焼成時の窯内の雰囲気(酸化…

其の三技法

上野焼の成形は主に轆轤(ろくろ)引きによって行われ、熟練した職人が丁寧に器の形を整える。薄手に引き上げられた素地は、茶碗・水指・花入れなど茶の湯の道具を中心に、多様な器形に仕上げられる。成形後は十分に乾燥させ、素焼きを経てから釉薬を施す。本焼きは登り窯あるいは電気・ガス窯を用いて高温で焼成される。釉…

其の四風土

福岡県北部の山間部に位置する産地は、豊かな森林資源と良質な陶土・水源に恵まれた環境にある。かつては登り窯の燃料となる木材が豊富に得られ、この自然条件が釉薬の発色や焼成技術の発展を支えた。