工芸 · No. 03

No. 03織物
羽越しな布
Uetsu Shina Cloth
uetsu shina cloth · 山形県
羽越しな布は、山形県・新潟県の県境山間地域に伝わる織物で、シナノキの樹皮から採った天然繊維を手紡ぎして織り上げる、素朴な風合いと高い耐久性が特徴の日本最古級の布のひとつ。
- 産地
- 山形県
- 分類
- 織物
- 素材
- 木
- 指定
- 国指定伝統工芸品
其の一歴史
羽越しな布の起源は縄文時代にまで遡るとされ、シナノキの樹皮繊維を用いた布づくりは日本列島における最も古い織物技術のひとつと考えられている。東北・北陸の山間地では、自生するシナノキが豊富であったことから、人々は古来よりその靭皮繊維を生活用の布として活用してきた。江戸時代には農村の自給自足的な生産が広く…
其の二素材
主原料はシナノキ(科の木)の靭皮繊維で、正式にはオオバシナノキやノジリシナノキなど複数の近縁種が使われる。初夏に伐採した木の皮を剥ぎ、水に浸して発酵・腐らせた後、繊維を丁寧に剥離する。この工程を「水さらし」と呼び、長時間の浸漬によって不純物を除去し、しなやかで強靭な繊維を取り出す。乾燥させた繊維は手…
其の三技法
糸づくりから織りまで、すべての工程が手作業で行われる。水さらしで精製した繊維を手でより合わせ(手よりと呼ばれる)、均一な太さの糸を作る。整経・綜絖通しを経て、高機(たかはた)または地機(じばた)と呼ばれる伝統的な織機で平織りを基本として織り上げる。緯糸にシナ糸を使い、経糸には綿糸を組み合わせることも…
其の四風土
産地の山形・新潟県境の山間地は、多雪・多雨の豪雪地帯であり、この豊富な雪解け水がシナノキの生育を促すとともに、繊維を精製する「水さらし」工程に欠かせない清冽な水を供給している。また、冬季の長い雪に閉ざされた期間が、室内での手仕事(糸よりや織り)に充てられる時間を自然に生み出してきた。



