CraftTripつくる旅

工芸 · No. 197

川尻筆

No. 197文具

川尻筆

Kawajiri Fude (Kawajiri Brush)

kawajiri fude · 広島県

川尻筆は広島県呉市川尻町で作られる伝統的な毛筆で、厳選された獣毛を用いた丁寧な手仕事と、書き心地の良さ・耐久性の高さで知られる。

産地
広島県
分類
文具
素材
獣毛 · 竹
指定
国指定伝統工芸品

其の一歴史

川尻筆の起源は江戸時代にさかのぼると伝えられており、川尻の地が交通・流通の要衝であったことが産業の発展を後押しした。当初は地域の需要に応えるかたちで筆づくりが営まれていたが、やがて職人の技術が高まり、広島藩の御用筆としても重用されたと伝わる。明治以降、全国的な書道・習字教育の普及にともなって需要が拡…

其の二素材

獣毛

川尻筆には、イタチ・タヌキ・ヤギ・馬・鹿などさまざまな動物の毛が用いられる。毛の種類によって硬さ・弾力・吸墨性が異なり、用途に応じて使い分けられる。特に上質な筆には、弾力と繊細さを兼ね備えた良質な獣毛が厳選される。毛の産地は国内外にわたり、素材の入手・品質管理も職人の重要な仕事の一つとされる。軸(柄…

其の三技法

川尻筆の製作は、毛の選別・整毛から始まり、すべての工程が職人の手仕事によって進められる。毛をそろえて不純物を取り除く「毛もみ」「毛そろえ」の後、穂首(筆の毛の部分)を形成する「芯づくり」「巻き」の工程へと移る。穂首の毛束は麻糸などで丁寧に束ねられ、均一な形と弾力が生まれるよう調整される。その後、穂首…

其の四風土

川尻町を擁する広島県南部は温暖な瀬戸内海式気候に恵まれており、年間を通じて湿度・気温が比較的安定している。この温和な気候は、繊細な毛素材の管理や乾燥工程に適しており、筆作りの産地として発展する環境的な条件を整えていた。