CraftTripつくる旅

工芸 · No. 93

浄法寺塗

No. 93漆器

浄法寺塗

Joboji Lacquerware

joboji lacquerware · 岩手県

岩手県二戸市浄法寺地区を中心に生産される漆器。国内最大級の漆の産地で採れた良質な国産漆を用い、素朴で力強い塗りが特徴。

産地
岩手県
分類
漆器
素材
漆 · 木
指定
国指定伝統工芸品

其の一歴史

浄法寺地区における漆掻きの歴史は古く、平安時代にまで遡るとも伝えられる。中世以降、天台宗の古刹・天台寺(てんだいじ)の門前集落として栄えたこの地では、寺社仏具の製作を通じて漆工技術が培われてきた。江戸時代には南部藩の保護・奨励のもとで漆の生産と漆器づくりが組織化され、産業として確立した。明治以降、安…

其の二素材

浄法寺塗の最大の特徴は、地元・浄法寺地区で採取される純粋な国産漆(本漆)を全工程にわたって使用する点にある。浄法寺産の漆は国内生産量の大半を占めるとされ、透明感が高く、乾燥後の堅牢性に優れる。木地(きじ)には主に地元産のトチノキやケヤキが用いられ、椀・盆・重箱などの日用品が多く作られる。また、下地工…

其の三技法

浄法寺塗の技法は、装飾よりも堅牢さと素材の誠実な表現を重視する点に特色がある。木地を整えた後、布着せを施して素地を補強し、錆漆や生漆(きうるし)を何度も塗り重ねて下地を仕上げる。上塗りには透漆(すきうるし)や朱漆を用い、刷毛目を残したシンプルな仕上げが基本とされる。金粉や螺鈿などの豪華な加飾は行わず…

其の四風土

岩手県北部の浄法寺地区は、夏に適度な湿気をもたらす冷涼な気候に恵まれており、漆の木の生育と漆液の採取(漆掻き)に最適な環境を形成している。また、漆の乾燥硬化に必要な高湿度の空気が自然に得られることも、良質な漆器を生み出す地理的条件となっている。