工芸 · No. 76

No. 76陶磁器
石見焼
Iwami Ware
iwami ware · 島根県
島根県西部の石見地方で作られる陶器。耐久性に優れた硬質の炻器(せっき)で、大型の壺や甕(かめ)など日用雑器を中心に発展してきた。
- 産地
- 島根県
- 分類
- 陶磁器
- 素材
- 陶土 · 長石 · 灰
- 指定
- 国指定伝統工芸品
其の一歴史
石見焼の起源は江戸時代中期ごろにさかのぼる。島根県西部の石見地方は良質な陶土に恵まれており、地域の需要に応える形で窯業が発展した。特に農家や商家での食品・液体の貯蔵容器として大型の甕や壺が盛んに作られ、山陰・山陽地方をはじめ広く流通した。明治以降は近代的な窯の導入により生産が安定し、醤油・味噌・漬物…
其の二素材
石見焼の主原料は、島根県西部に産する良質な木節粘土(きぶし)および蛙目粘土(がいろめ)を中心とした陶土である。これらの粘土は鉄分を適度に含み、焼成後に灰色〜褐色の落ち着いた色調と高い硬度をもたらす。焼き締まりが強く、吸水率が低いため、液体や食品の長期保存に適した緻密な素地が得られる。釉薬には地元産の…
其の三技法
石見焼の成形技法は、大型器を得意とする轆轤(ろくろ)引きと、甕などの大物に用いられる紐作り・打ち込み成形を組み合わせる点が特徴的である。大型の甕は数回に分けて粘土を積み上げ、たたき板と当て木を使って成形する「たたき技法」が伝統的に用いられてきた。乾燥後は施釉し、登り窯や倒炎式窯などで高温焼成を行う。…
其の四風土
島根県西部の石見地方は日本海に面し、冬季に多雨・多雪となる山陰型気候が特徴である。この湿潤な気候が食品の発酵・保存文化を育み、耐久性の高い大型貯蔵容器への強い需要を生み出した。また、山間部に豊富な陶土資源が賦存したことも、石見焼の発展を支えた重要な地理的要因である。


