工芸 · No. 186

No. 186和紙
阿波和紙
Awa Washi
awa washi · 徳島県
阿波和紙は徳島県で生産される伝統的な手漉き和紙で、清澄な水と質の高い楮(こうぞ)を活かした、丈夫さと繊細な風合いを兼ね備えることで知られる。
- 産地
- 徳島県
- 分類
- 和紙
- 素材
- 和紙 · 楮 · トロロアオイ
- 指定
- 国指定伝統工芸品
其の一歴史
阿波和紙の起源は古く、奈良時代にはすでに阿波国(現在の徳島県)から朝廷へ紙が献上されていたと伝えられる。吉野川流域の豊富な清流と、良質な楮の栽培に適した土地柄が、和紙産業の発展を支えた。江戸時代には藩の保護のもとで生産が奨励され、紙漉きは地域の重要な産業として根付いた。明治以降は機械製紙の普及により…
其の二素材
阿波和紙の主原料は楮(こうぞ)で、徳島県内およびその周辺で栽培されたものが使用される。楮の靭皮繊維は長く強靭で、丈夫かつしなやかな紙を生み出す特性を持つ。原料の蒸煮・皮剥ぎ・叩解といった精製工程を経て、繊維を均質に整える。また、トロロアオイの根から採れる「ねり」(植物性粘液)を水に加えることで、繊維…
其の三技法
阿波和紙の製造は「流し漉き」技法を中心とする手漉きで行われる。紙漉き職人は木枠に竹簾(たけす)を張った「簀桁(すけた)」を用い、楮繊維をねりと混ぜた紙料液を縦・横に揺り動かして繊維を均一に絡み合わせながら薄い層を形成する。この動作の習熟には長年の修練が必要で、紙の厚みや均一性は職人の技量に直結する。…
其の四風土
徳島県の吉野川流域は、四国山地に源を発する清澄な軟水が豊富に流れ、冬季の冷涼な気候が雑菌の繁殖を抑えて紙料液を清潔に保つ。この水質と気候条件が、繊細で均質な阿波和紙を生み出す自然環境的基盤となっている。

