CraftTripつくる旅

工芸 · No. 210

駿河雛人形

No. 210人形・こけし

駿河雛人形

Suruga Hina Dolls

suruga hina dolls · 静岡県

駿河雛人形は静岡県で作られる雛人形で、桐塑や和紙を用いた丁寧な造形と、静岡の木工・漆器・織物産業が融合した華やかな仕上がりが特徴の伝統工芸品。

産地
静岡県
分類
人形・こけし
素材
木 · 絹 · 金
指定
国指定伝統工芸品

其の一歴史

駿河雛人形の起源は江戸時代にさかのぼる。静岡(当時の駿河国)は徳川家康が晩年を過ごした地であり、駿府城の城下町として栄えた。家康が招いた全国各地の職人たちが駿河に定住したことで、木工・漆器・蒔絵・象牙・竹細工など多彩な技術が集積し、この地の工芸文化の土台が形成された。雛人形づくりはこうした豊富な職人…

其の二素材

胡粉

駿河雛人形には、各部位ごとに厳選された素材が使用される。頭部(かしら)には、桐の木粉を胡粉(貝殻を原料とした白色顔料)と水で練り合わせた桐塑が用いられ、細やかな表情の表現を可能にする。胴体には木材や藁を芯材として使い、衣装には絹織物をはじめとする良質な布地が用いられる。装飾には金箔、漆、蒔絵といった…

其の三技法

駿河雛人形の制作は、頭・胴・衣装・小道具など各パーツを異なる専門職人が分業して仕上げる「分業制」が特徴である。頭部の制作では、桐塑を型に詰めて乾燥させた後、胡粉を何層にも丁寧に塗り重ね、研磨して滑らかな肌を表現する。目には手描きやガラス目を使用し、眉・口元も筆で繊細に描き入れる。衣装は本物の着物と同…

其の四風土

静岡県は温暖湿潤な気候に恵まれ、古くから木材資源が豊富であった。また適度な湿度が漆や胡粉の乾燥・定着に適した環境を提供し、精密な塗装・仕上げ作業を支えてきた。こうした風土が多彩な工芸技術の集積と発展を促し、駿河雛人形の精巧な美しさを育む土台となっている。