工芸 · No. 20

No. 20織物
近江上布
Omi Jofu
omi jofu · 滋賀県
近江上布は滋賀県湖東地域で生産される麻織物で、精緻な手績み糸と伝統的な絣技法による涼感あふれる布地が最大の特徴である。
- 産地
- 滋賀県
- 分類
- 織物
- 素材
- 麻
- 指定
- 国指定伝統工芸品
其の一歴史
近江上布の起源は古く、琵琶湖東岸の湖東地域では古代より麻の栽培と織布が行われていたとされる。中世以降、この地域の麻織物は品質の高さで知られるようになり、近世(江戸時代)には彦根藩の保護・奨励のもとで産業として発展した。麻布は「近江晒(おうみさらし)」としても知られ、琵琶湖畔の清流を利用した晒し加工が…
其の二素材
近江上布の主原料は苧麻(ちょま/カラムシ)と呼ばれる植物の靭皮繊維である。かつては湖東地域周辺でも栽培されていたが、現在は国内外から調達した苧麻が使われることが多い。苧麻の茎から剥ぎ取った靭皮を細かく裂き、熟練した職人が指先で撚り継いで糸を作る「手績み(てうみ)」の工程が素材の品質を左右する。手績み…
其の三技法
近江上布の製作において最も特徴的な技法は、「手績み」による糸作りと「絣(かすり)」技法の組み合わせである。手績みでは職人が苧麻の繊維を指先で丁寧に撚り繋ぎ、均一で細い糸を生み出す。絣技法では、織る前に糸の特定箇所を括ったり染料に浸したりすることで、織り上がった際に幾何学模様や自然モチーフが布面に浮か…
其の四風土
琵琶湖を擁する滋賀県湖東地域は、豊富な水資源と適度な湿度を持つ気候風土に恵まれている。この清澄な水は麻布の晒し加工に最適であり、布地に独特の白さと柔らかさをもたらす。また夏の高温多湿な気候が、通気性・吸湿性に優れた麻織物への需要を長年支えてきた。

