工芸 · No. 237

No. 237その他の工芸品
長崎べっ甲
Nagasaki Bekko (Tortoiseshell Craft)
nagasaki bekko · 長崎県
長崎べっ甲は、長崎県で作られるタイマイ(海亀)の甲羅を素材とした伝統工芸品。江戸時代の南蛮貿易を通じて発展し、透明感ある飴色と精緻な加工技術が最大の特徴。
- 産地
- 長崎県
- 分類
- その他の工芸品
- 素材
- 鼈甲
- 指定
- 国指定伝統工芸品
其の一歴史
長崎べっ甲の起源は、江戸時代に長崎が日本唯一の対外貿易港として栄えた時代にさかのぼる。オランダや中国との交易を通じて東南アジア産のタイマイの甲羅が長崎へ持ち込まれ、地元の職人がその加工技術を習得・発展させた。長崎の出島を窓口とする貿易構造が、希少素材と技術の集積を可能にした。明治時代に入ると、外国人…
其の二素材
鼈甲
主要素材は、タイマイ(学名:Eretmochelys imbricata)と呼ばれる熱帯・亜熱帯の海に生息するウミガメの甲羅(背甲板)である。甲羅は半透明の飴色から深い茶褐色まで、独特の斑模様を持ち、その自然な色彩のグラデーションが美しさの源となっている。素材はワシントン条約による国際規制のため新規…
其の三技法
べっ甲加工では、まず甲羅の板を丁寧に切り出し、研磨・整形する「荒削り」から始まる。複数の甲羅片を貼り合わせる「張り合わせ(布海苔・熱圧着)」の技法では、熱と圧力を用いて素材を一体化させるが、接着剤を使わずに素材そのものを溶着させる点が特徴である。続いて、細工ノミや専用の刃物を用いた「彫り・透かし彫り…
其の四風土
長崎は温暖湿潤な気候を持ち、古来より海上交易の拠点として栄えた港湾都市である。温暖な気候はべっ甲素材の加工(熱を用いた成形)に適した作業環境を提供するとともに、海を介した物資の流通を支え、東南アジア産素材の集積地となる素地を育んだ。

